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本番の朝に

 2018-07-03
舞台の裏方のお仕事は主にバレエの発表会です。以前はオーケストラが入るようなバレエ団の公演にも携わっていましたが、今はそちらはほんの時々で、バレエを勉強する子どもたちや大人の方たちの舞台がほとんどです。

週末2日続けての仕事の時には、土曜日に仕込み・舞台稽古、日曜日にゲネプロ・本番・バラシというスケジュールのことが多いです。日曜日の朝は子どもたちも早くから劇場に入ります。

この前の日曜日の朝、最寄り駅から劇場へ向かう途中、綺麗に頭を結った姉妹とお母さんが前を歩いていました。その嬉しそうな様子に「今日はこの子たちの大切な日なんだ。」と改めて思いました。

自分にとって舞台の仕事は日常的なことですが、そこで会う生徒さん達にとっては年に一度や二年に一度の発表会。そのために何ヶ月も前から練習して、決して安くは無い費用をかけて舞台に立つ日です。何か不手際や間違いがあってはならない。上手く踊れるかどうかはこちらが手出しできることではないけれど、なるべくそうできるように環境を整えてあげるのがわたしの大きな役目です。

嬉しそうな後ろ姿を見ながら歩いていたら、わたしにも発表会が特別な日だった子どもの頃を思い出しました。そんなことを思っていたらお母さんが振り返ってわたしに気がつき、挨拶してくれました。「おはようございます。今日はよろしくお願いします!」待ち合わせていたお友達とママと、別の入り口からホールへ入っていきました。

本番になり客席にお客さんが入ると、子どもたちの様子はゲネプロとは全く違います。まだ学校へ入る前の小さな子たちでもそうです。小さい子は客席に手を振ってしまったり、少し大きくなるとお客さんを意識して嬉しそうに、恥ずかしそうに、でも自分のやるべきことを忘れないようにと意識しているのが分ります。そうだなぁ。こうやって舞台に立つというのがどういうことか経験して学んでいくんだよね。

裏方のわたしは緊張感は持っていても緊張はぜず、まずまず平静。仕事を始めた頃からわりとそう。でもバレエの発表会に出ていた子どもの頃は、舞台の上でいつもと違うことを考えてボーっとしてやることを忘れたり、少し大きくなると緊張して自分の身体じゃないみたいに感じたり、どう考えても本番に強い人ではなかった。それでも舞台の上では良い意味で練習とは違う踊りができることもありました。

お客さんの前に立つというのはすごいことです。袖から意を決して出て行く瞬間の姿を見送りながらいつもそう思います。日常的に「本番」という時間に触れられているのは本当に貴重なこと。裏方であっても少し間があくと勘が鈍ります(笑)。


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駅に行く途中に咲く街路樹のムクゲ。夏の朝、疲れている時に元気をくれる花です。



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